2023年10月7日、イスラエルという国に「ハマス(ハマース)」という組織そしき(同じ考えを持った人たちの集まり)が攻撃こうげきし、それに反撃はんげきする形でイスラエルもパレスチナの「ガザ地区」という場所に攻撃をすることで、今戦争状態となっています。

この、イスラエルとパレスチナという2つの場所は、これまでも何度も戦争をしていて、なかなか解決することができません。なぜ、こんなにもこの地域は仲良くなれないのでしょう。それには、非常に悲しい歴史があります。

イスラエルとパレスチナの場所

「ハマス」という組織は、イスラエルのお隣の国、「パレスチナ」という国の人々です。これらの国は、日本の西側。エジプトやレバノン、ヨルダンといった国とおとなりの「中東ちゅうとう」の国です。

イスラエルという国ができる前は、この辺りはパレスチナと呼ばれる地域でしたが、1948年にこの場所にとつぜん「イスラエル」という国ができあがりました。ここから、戦争の日々が始まってしまったわけです。

ユダヤ人の国、イスラエル

イスラエルにはユダヤ人という人種の人々が住んでいます。このユダヤ人は、昔このあたりに住んでいた人々。しかし、宗教などのさまざまな問題から、この地から追い出されてしまい、それ以来ユダヤ人は自分たちの国もない状態でバラバラになり、さらにドイツなどの各国からもひどい扱いを受けてきました。

そんなユダヤ人のためというのもあり、第二次世界大戦だいにじせかいたいせんが終わった1947年、国連こくれんという世界の国々で集まって物事を決める集まりで、パレスチナを分けて、ユダヤ人の国である「イスラエル」を作ることが決められます。これを「パレスチナ分割決議ぶんかつけつぎ」といいます。分割は「分けることを決めた」という意味です。

国をとられてしまったパレスチナ人

ここまで聞けば、ユダヤ人にとってはめでたしめでたしとなりますが、そうはいかないのが分けられてしまった場所に、もともと住んでいた人々である「パレスチナ人」の人たちです。彼らは、自分たちが住んでいた場所をうばわれたばかりか、元々よりも狭い場所に押し込められなければならなくなりました。

当然これに怒ったパレスチナは、イスラエルができた次の日には、国を取り戻そうとイスラエルにめ込んでいきます。これが、1948年に始まった「中東戦争ちゅうとうせんそう」と呼ばれる戦争です。

この戦争は、周りのエジプトやイラクなどの「アラブ諸国しょこく」や、アメリカ・イギリス・フランスやソ連(現在のロシア)なども巻き込んで、大きな戦争となりました。その後も第四次だいよじ中東戦争まで何度も戦争を起こしています。

大きな戦争はこの時が最後でしたが、それからもずっと小さな戦争をし続けているという状態です。

ガザ地区とハマス

住む場所を取られてしまったパレスチナですが、このパレスチナは地図で見るとおかしな形をしています。イスラエルをはさんで、2つの場所に分かれてしまっているのです。

ヨルダン川の地域を「ヨルダン川西岸せいがん地区」と呼び、地中海側の狭いエリアを「ガザ地区」と呼びます。

そして、このガザ地区を収めているのが「ハマス」という組織です。今、イスラエルと戦っているのは、このハマスの軍隊ぐんたいなのです。

ハマスはパレスチナの土地を取り戻すことを強く願っていて、イスラエルへも度々攻撃をしています。イスラエル側も、それに対してハマスが強い力を持っているガザ地区を攻撃するなど、戦争状態が続いていました。

そして2023年10月、このハマスがイスラエルに対して攻撃をしたことで、再び今回の戦争が始まってしまったというわけです。

イスラエルにとってのもうひとつの敵、ヒズボラ

《2024年10月9日に書き足しました》

2024年8月25日、イスラエルは「ヒズボラ」という組織に向けて攻撃をしました。これは、ヒズボラがイスラエルに攻撃をしようと、準備していることを確認したからだと発表しています。それに対して、ヒズボラもロケット弾やミサイルで反撃し、戦いが始まってしまいました。

ヒズボラってなに?

「ヒズボラ」というのは「組織そしき」の名前で、レバノン共和国というイスラエルの隣の国にいます。「イスラム教」という宗教を信じている人たちで、特に「シーア派」と呼ばれる考えを持った人たちの集まりです。

この「イスラム教シーア派」という宗教を信じる人たちは、イランという中東の国にもたくさんいて、このヒズボラという組織はイランの力を借りて、とても強い武器や兵器を持っています。また、戦える人たちも2万人から5万人もいると言われています(ヒズボラ自身は10万人いると言っています)

ゴラン高原の被害で本格化した戦闘

ヒズボラとイスラエルは2000年以降、ずっと小さな戦いをくりかえしていました。2006年には、ヒズボラの人たちがイスラエルに入り込んだことから、イスラエルもレバノンの南側に攻撃をするなど、大きな戦いも何度もありました。

そして、2023年のイスラエルとハマスの戦いが始まった時、このヒズボラもイスラエルに攻撃をし始めました。

さらに2024年7月27日。イスラエルが「占領せんりょう(自分たちのものとする)」している「ゴラン高原」という場所にあるサッカー場に、ロケット弾が落ちて12人の人々が亡くなったことにイスラエルは怒り、ヒズボラを本格的に攻撃し始めました(ただし、この攻撃はヒズボラは自分たちではないと言っています)。

30日には、ヒズボラの最高幹部さいこうかんぶ(えらい人)である「フアド・シュクル氏」を殺害(殺すこと)したと発表しました。その次の日には、ハマスの「イスマイル・ハニヤ氏」も死亡しました。

これには今度は、ヒズボラとそれを助けるイランも怒り、一気に緊張感が高まっているというわけです。

解決の見えない問題

イスラエルとパレスチナ、イランなどの中東問題は、自分たちの国を作りたかったユダヤ人と、自分たちの国を守りたかったパレスチナ人の戦いです。そして「ユダヤ教」や「イスラム教」といった宗教の問題にもつながっている、ものすごく根の深い問題です。

なかなか解決の方法は見つからず、平和が訪れるには難しい問題が山積やまづみですが、根気強こんきづよく解決して、人々が平和に暮らせることを願うしかありません。

参考サイト

地図画像提供: 白地図専門店

SDGsの17の目標(もくひょう)を、いっきに知ろう!
小学生でもわかるSDGs

この記事を書いた人

ともすた編集部

ともすたは、「学ぶ。をちゃんと」をコーポーレートテーマに、すべての人が学びやすい環境を作ります。
映像講義やオンラインコンテンツを通じてプログラミングを学びたい方々を応援しています。