2025年11月7日、高市早苗総理大臣が言った「台湾有事」の内容が中国との関係を悪くしたとして、自民党以外の党(野党)に人たちに非難されています。また、中国は「日本に旅行に行かないように」といった注意がされるなど、怒っている様子を示しています。いったい、どんなことを言ったのか、そしてなぜ中国は怒っているのでしょう。
台湾とは
台湾とは、中国の南側、日本では沖縄のすぐ近くにある大きな島です。
ここには、2,300万人位の人たちが暮らしています。
ではこの島は、どの国の島なのかというと、ここが今回の問題にも大きく関わってきます。台湾は自分たちは「中華民国」という「国」と名乗っています。しかし、同じように台湾を国だよねと認めている国は、グアテマラやパラグアイなど数カ国で、日本を含めてほとんどの国は、台湾を国としては認めていません。なぜなら、中国との関係が悪くなるため。
中国は台湾を中国の島だと思っている
中国は、台湾を中国(中華人民共和国)の一部だと言っています。ただ、実際にはこれもまた誰もが「そうだよね」と言えない事情があります。
それは、台湾には中国とは別の政府や軍隊があり、また台湾内で選挙をして代表者を決めるなど、中国とはまったく違う政治を行っています。そして、これ自体は中国も認めています。これには、台湾の歴史が関係しているのですが、ここでは一度歴史は置いておきましょう。
そのため、中国が本当に台湾を中国の一部にするには、台湾の軍隊を倒すか、政府を倒して、本当に中国の一部にしなければならないというのが今の状態なのです。
台湾有事とは
今回、話題になっているのが「台湾有事は、存立危機事態になるか」という問題です。それぞれについて紹介しましょう。
台湾有事
「有事」とは、「ふだんとは違う、トラブルが起こっている状態」のこと。ここではつまり、中国と台湾が戦い始めたことをいいます。
存立危機事態
次に「存立危機事態」というのは「日本の安全が危なくなっている状態」のこと。つまり例えば、日本と仲の良い国(アメリカなど)が攻撃されたときに、日本にも危険があると思う状態を存立危機事態といいます。
台湾有事は存立危機事態?
今回、問題になっているのは「台湾が攻撃された場合、日本は危険な状態になり、台湾を助けるのかどうか」という問題。日本は、台湾とは歴史的にも非常に仲の良い地域で、これまでも助け合ってきた歴史があります。
また、台湾はアメリカとも仲が良く、アメリカはもっと強く「台湾が攻撃されたら中国を攻撃するぞ」と言っているほどです。
しかし、これは中国にとっては面白くありません。台湾は「中国の一部だ」と言っているのですから、中国自身の問題(内政)に外国が口を出してきているということになります。これを「内政干渉」といって中国にとっては、許せないことです。
今回、日本が「台湾が攻撃されたら、日本も危険なので中国を攻撃するかもしれない」とも取れる発言を、日本の総理大臣がしたことで、中国が怒っているという訳です。
発言を取り消すかが今後のポイント
今、野党の人たちは高市総理大臣に「あの日の発言を取り消して、台湾有事は存立危機事態にはならないと言ってください」とお願いをしています。そうすることで、中国との関係を元に戻そうとしています。
しかし、高市総理や小泉防衛大臣は「発言には問題がなかった。さまざまなケースを想定しておくべきだ」といっていて、発言を取り消さないと言っています。
今後、中国と台湾とアメリカ、これらの国や地域とどうバランスを取っていくか、注目されています。
