前の記事で「ゲーム機はコンピューターです」と紹介しました。では例えば、電子レンジはコンピューターでしょうか? 車は? 本は?
一体、どんなものをコンピューターと呼ぶのか、今日はこちらについて紹介していきましょう。
コンピューターの五大機能
答えからいうと、「コンピューター」は次の5つの機能を持っているもののことを言うとされています。
- 入力機能
- 出力機能
- 演算機能
- 記憶機能
- 制御機能
です。それぞれについて紹介しましょう。

人がコンピューターに指示できる「入力機能」
入力機能は、ゲーム機ならコントローラー、パソコンならキーボードやマウス、スマホならタッチ画面のこと。使う人がコンピューターに対して、こうして欲しい、ああして欲しいとお願いすることができる機能のことです。
結果が見える「出力機能」
出力機能は、画面やスピーカーのこと。ゲームの内容や入力機能で入力した文字などが、画面に表示される機能のことです。
計算できる「演算機能」
コンピューターというのは英語で「計算する人・物」という意味があります。日本語で言うと「計算機」のこと、ただし電卓と見分けをつけるために「汎用計算機」なんて呼ばれます。「汎用」というのは「いろいろなことに使える」という意味。

つまり、コンピューターは計算をする機能がないといけません。計算といっても足し算や引き算のことだけではありません。画面に表示される絵(グラフィックといいます)を作るための計算や、スマートフォンで今いる場所を計算して地図を表示するといったものも計算の一種で、ここでは「演算」という言葉が使われます。
やった内容を覚えておける「記憶機能」
もし、コンピューターが覚えておくことができなかったら、ゲームの途中の内容を忘れてしまいます。そもそも、ゲームの内容自体も覚えておくことができないので、なにも動かすことができません。そのため、ものを覚えておける「記憶機能」が必要ですね。
これらをまとめて指揮する「制御機能」
ここまで、4つの機能を紹介してきました。コンピューターはこれらの機能が、息を合わせて動くことで全体を動かしています。例えば、ゲームでコントローラーのボタンを押すと「入力」が働きます、キャラクターをジャンプさせるという「演算」が働いて、それを画面で見せるという「出力」が働きます。この時、キャラクターの見た目や効果音、音楽などはゲーム機に「記憶」されています。

こんな風に、各機能が息を合わせるために必要なのが「制御」です。制御というのは、学校の先生のように、みんながきちんと作業できるように見張ったり、指示をしたりすることですね。
こうして、制御機能を中心とした各機能がまとまって働くことで、コンピューターはさまざまな事を行えるようになっています。
さて、最初の問題で、「電子レンジ」はコンピューターでしょうか? 最近の電子レンジの場合、ボタンを押すと(入力)、いろいろなメニューを呼び出せます(記憶)、そして自動的に最適な時間を計算して(演算)、ものを温めてくれます(出力)。もちろん、これらも制御機能が働いているので、電子レンジはほとんどの場合、コンピューターです。
逆に本の場合は、演算や制御する機能がありませんので、コンピューターとは呼べません。こんな風に見分けられるんですね。
コラム
五大装置
本文で紹介した、五大機能を実現するためのもののことを「五大装置」と言います。例えば、ゲーム機のコントローラーは入力するための「入力装置」で、画面やテレビが「出力装置」です。装置ということばも覚えておきましょう。
制御と演算を同時に行うシーピーユー(CPU)
では、コンピューターの中を覗いてみましょう。コンピューターは、いろいろな線が描かれている「基板」という板にさまざまなパーツがつっくいていて動いています。そして、この中で一番重要なパーツがシーピーユー(CPU)というパーツです。

これは、先ほどの機能のうち「制御機能」と「演算機能」を受け持っています。1つのパーツで2つの機能を持っているんですね。このシーピーユーの性能が、コンピューターの性能を大きく左右します。
古いパソコンやスマートフォンで、動きがすごく遅く感じたり、なかなか反応してくれないなんていう経験はありませんか? あれはほとんどの場合、このシーピーユーの性能が遅くて演算が追いつかずに、待たされているという状態です。
シーピーユーの性能を測る数字として「クロック周波数」という数字があります。
シーピーユーの性能は「クロック周波数」で分かる!
では、「早いシーピーユー」はどのように比べたら良いでしょう? 一番分かりやすいのは、「クロック周波数」という数字で、スマートフォンのカタログなどを見ると「2.5GHz」とか「3.2GHz」といった数字が書かれています。これが「クロック周波数」の数。シーピーユーは「クロック信号」という信号でタイミングを合わせて、入力装置からの信号を受け取ったり、出力装置に信号を送り届けたりしています。
そのため、クロック信号が短い時間にたくさん来たら、その分早く仕事をする事ができるというわけ。この「1秒間に何回クロック信号を送ることができるか」という回数を「周波数」といいます。
そして、このクロック周波数を計る単位が「Hz」と書いて「ヘルツ」という単位。「1ヘルツ」で、1回のクロック信号を送ることができます。
では、「2.5GHz(ギガヘルツ)」では1秒間に何回クロック信号を送ることができるでしょう? 「G(ギガ)」は別の記事でも紹介した、大きな数を表す時の単位で「1,000,000,000」を表します。つまり、2.5ギガヘルツは2,500,000,000ヘルツで、1秒間に25億回のクロック信号を送ることができるというわけです。
この数字が大きいほど、「シーピーユーの性能が高い」ということができるんですね。
クロック周波数の限界とマルチコア
クロック周波数が高いほど性能が高いと紹介しましたが、クロック周波数をどんどん上げても作業が追いつかなくなってしまうのです。
そこで、最近のシーピーユーでは別の方法で性能を上げています。それは「マルチコア」という方法。
「コア」というのは「中心」といった意味がありますが、シーピーユーの中でもさらに重要な演算機能の部分のこと。「マルチ」というのは「たくさんの」という意味があるので、つまり、この演算機能の中心部分である「コア」をたくさん持っているシーピーユーが登場してきたのです。
コアがたくさんあると、1回のクロック信号でコアの数だけ作業を行うことができるようになります。こうして、シーピーユーの性能はますます上がっているんですね。
グラフィック専門のジーピーユー
ゲーム機等の場合、シーピーユーで演算が非常に大変なのが、画面を作り出す「グラフィック」の作業です。皆さんがコントローラーでキャラクターを動かすと、背景や敵キャラなども含めて画面がコロコロ変わっていきます。この時、画面になにが表示されていて、どんな姿をしていて、どんな風に動くのかなどを計算し続けないといけません。
とはいえ、シーピーユー自身はその他にも、いろいろな作業を担当しています。そこで、このグラフィックの部分だけを別の部品に任せようという考え方が生まれます。そして誕生したのが「ジーピーユー(GPU)」というもの。最初の「G」は「グラフィックス」の最初の文字ですね。

このジーピーユーを使うことで、より高度なグラフィックを作り出すことができ、非常にキレイな画面でゲームを遊べるようになっています。
ことば
ターボブースト
時間のかかる作業をする時などで、電源や熱に余裕がある場合に、一時的にクロック周波数を上げてコンピューターの性能を上げること。
ことば
バス
コンピューターの内部でデータが行き来するための通路のこと。これを「回路」などと呼びます。