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千円札、五千円札、一万円札という「お札」はよく見ると、ものすごく複雑な模様が描かれています。さらには、真ん中には光にかざすと見える「透かし」が入っていたり、1万円札には光を当てるとキラキラするシールの中に数字で10000と書かれている「ホログラム」が入っていたりなど、非常に複雑な作りになっています。

なぜ、お金にはこんなに複雑な模様が必要なのでしょう? これは、「にせもの」を防ぐためです。

お金のにせものがなぜいけないの?

では、なぜお金のにせものを作ってはいけないのでしょう? みんなが自由にお金を作れたら、みんながお金持ちになれば良いのではないでしょうか?

実はそうはならず、お金を自由に作れてしまうと逆にみんなが貧乏になってしまうのです。

例えばここに、本物の100円玉があります。これを持ってお店に行けば、100円分のおかしなどを買うことができます。「買う」というのはつまり、100円玉とお菓子を「交換」している事になります。

では、なぜお店は100円玉とお菓子を交換してくれるのでしょう? それは、そのお店の人も100円玉を持って、また別の八百屋さんや文房具屋さんに行けば、同じく100円分のお野菜や文具と交換して貰えるからなのです。

なんだか当たり前の話をしているように聞こえますが、実はこれは非常に不思議な事です。なぜなら、「100円玉」というあの薄いメダルは100円もしないのです。

100円玉は4円しかしない!?

100円玉は「白銅」という金属でできたメダルです。金属は高い熱で溶かすとドロドロにして、他のものに作り替えることができますが、100円玉の金属を溶かしてしまうとその金属は4円分くらいの金属にしかなりません。

例えば、100円のお菓子と100円の野菜を交換する場合は、同じ金額で交換できていますが、100円玉と100円のお菓子を交換するのは、なんと「4円のメダルと、100円分のお菓子」を交換している事になります。不思議ですよね?

さらに不思議なのが、お札となると紙なので、水で溶かしてしまったらほとんど0円に近いくらいの価値しかありません。なぜ、こんな不思議なものでものを買うことができるのでしょう?

それには、お金に対する「信用」というものがあるためです。

お金は信用のやり取り

先ほどの例で、100円玉と100円のお菓子を交換するのは、100円玉というものを日本中の人たち、世界中の人たちが「このメダルは100円分のものと交換することを約束しますよ」と決めているからやり取りができています。

もしこれが、あるお店の人が「100円玉では100円のものとは交換してあげないよ」と言ってしまったら、信用が成り立たなくなってしまいます。そんなことを言う人はいないと思うかも知れませんが、実はこれが起こってしまう事があります。

お金を作りすぎると、お金の価値が下がってしまう

この記事の最初に、お金は「国がどのくらい作るかを決める」と紹介しました。もしこれを例えば、「どんどん作って、みんなにどんどん配る」としたらどうなるでしょう? お金持ちになれますね。

しかし、みんながお金持ちになってしまうとなにが起こるでしょう? それまで100円のお菓子を我慢していた人も、我慢せずに買うかも知れません。すると、お菓子がどんどん売れてしまって作っても間に合わなくなるかも知れません。

そこで、お菓子を売る人は100円ではなく、200円で売るようになります。その他の野菜も、薬も、家もあらゆるものの値段が上がってしまうのです。

結局、みんなのお金が増えても、その分値段も上がってしまったので、あまり変わらないことになってしまいます。しかし実は、世界でみるとこの時大きな問題が起こっています。

その国のお金が使えなくなってしまう

世界では、いろいろなお金が使われています。アメリカなどでは「ドル」が、ヨーロッパの国々では「ユーロ」などが使われていて、「円」を使っているのは日本だけです。

お金というのは、外国のお金と円を交換することができます。例えば、円とドルは今、1ドルが100円ちょっとで交換することができます。これは逆に言えば、100円のお菓子がアメリカでは1ドル位で買えることになります。

さてこの時、日本で突然お金がばらまかれて、100円だったお菓子が200円になったらどうなるでしょう? でも、アメリカでは1ドルで買えるのなら日本でお菓子を買うよりも、アメリカで買った方が安くなります。

それでは困るため、アメリカは「1ドルを100円では変えてあげないよ」となってしまい、1ドルが200円くらいになってしまうのです。これはつまり「円というお金の価値が下がってしまった」事になります。

こうして、お金を作り続けた結果、お金持ちになったはずが、なぜかお金の「量」は増えているのに全然お金持ちになれないという状態になってしまうのです。

にせ札はお金の価値を壊してしまう

さて、それでは最初の話に戻りましょう。なぜ、にせもののお金を作ってはいけないのか。それは、こうしてお金を誰もが勝手に作れるようになってしまうと、どんどんとお金の価値が下がってしまい、やがては「100円のお菓子は、100円とは交換してあげないよ」という事になってしまい、「お金」というもの自体が使えなくなってしまいます。

すると私達は、例えば100円のお菓子を買うために、100円の魚を捕ってきて交換するという「物々交換」に頼ったり、100円分の価値がある金属を山から取ってきてお金の代わりにするという昔の方法でしか買い物ができなくなってしまいます。

「信用」という形のないもので買い物ができる今の「お金」という制度。これを守り続けるためには、にせ札というものがあってはいけないのです。だからこそ、お金には複雑なしかけがたくさんあって、にせものが作れないようなしくみになっています。

この記事を書いた人

たにぐち まこと

ともすた代表。YouTubeや Udemyで、プログラミング教育に関する動画コンテンツを展開しています。

プライベートでは私立小学校に通う 7歳の娘の教育について、自身でさまざまな試行錯誤をしながら、子どもの教育について考えています。